フルアルバムリリース後、レーベルから1st EPとしてリリース。
これまで彼らの歴史上ではターニングポイントの意味を持つことが多かったナンバリングタイトルの通算第四弾となる。
アルバムリリースを経て、サウンド面はより硬質で生々しい方向へと舵を切っている。
これまでのライブのダイナミクスを再現すべく、音圧や迫力を稼ぐサウンドプロダクションからは脱却し、
極力エフェクトと修正を排した剥き出しのサウンドに変化を遂げた今作は、
楽曲の幅を少しずつ拡張しつつもCRYAMYの本質的な部分を辿るような構成になっている。
絶叫で音楽家の内面の葛藤を叩きつけるパンク「マリア」や隣人への深い愛情と途方もない献身を誓う「WASTAR」のような
これまでのCRYAMYを踏襲する真骨頂とも言える楽曲に加え、
policeからの引用が光る「悲しいロック」、壮大な広がりを素朴なフォークに落とし込んだ「ALISA」といった新規軸もありつつ、
のちにシカゴでも再録され、アルバムのリードトラックとなるレゲエ/ハードコアのエッセンスを取り入れた「待月」など、
のちに訪れるCRYAMYの変貌を予感させる要素も散りばめられている。
この頃、カワノの描く歌詞世界はついに完成する兆しを見せ始め、
明確に歌われる対象が「人間」に移り、その生を賛美することにためらいやまよいが見られなくなっていった。
同時に、歌詞はどんどんリアリティを増していき、彼の心象風景が現実の世界に食い込んでいく様子を見せ始めている。
それと同時に、彼ら四人の緊張感と消耗はピークに達していったのはライブを見ても明らかで、
今作を伴ったリリースツアーから、彼らのライブは刺すような鋭い空気を纏っていくようになる。
フロアの沈黙と混乱を一心に受け止めるように懸命なライブを見せ始めた彼らの、大きな転換点となった一作となった。